商略AI

AIチャットに自社の数字を渡す3つの方法と、その使い分け

マーケティング5分

ChatGPTに「先月、CPAが上がった原因は何ですか」と聞いても、まともな答えは返ってきません。あなたの数字を持っていないからです。

返ってくるのは「入札単価の上昇、競合の増加、季節要因などが考えられます」という、教科書に書いてある内容です。間違ってはいませんが、それを読んで明日やることは決まりません。

数字の渡し方は3つあります。手間も、向いている場面も、リスクも違います。

マーケティング支援SaaS「商略AI」( https://shoryaku.net ) を作っています。前半は3つの比較と、CSVを上げる前に必ずやること。後半で商略AIのチャットの話を書きます。

渡し方は3つ

方法 手間 向いている場面 気をつけること
CSVやスクリーンショットを貼る 毎回かかる 単発。今すぐ試したい 個人情報がそのまま外部に出る
MCPで繋ぐ 最初だけ 同じ質問を繰り返す 認証の準備がやや重い
数字を持っているサービスに聞く 連携だけ 毎週の相談 そのサービスが対応する媒体に限られる

一番手軽なのがCSVを貼る方法で、一番危ないのも同じです。 そこから書きます。

CSVを上げる前に、必ずやること

ネットショップの注文CSVを書き出したことがあれば分かると思いますが、あの中には氏名、住所、電話番号、メールアドレスが入っています。

それをそのままAIサービスに上げると、顧客の個人情報を外部サービスへ渡したことになります。 自分1人の事業でも気持ちのいい話ではありませんし、会社なら社内規程に触れる可能性があります。取引先から預かったデータなら、契約違反になることもあります。

手順は3つです

1. 個人が特定できる列を消す。

氏名、住所、電話番号、メールアドレス、顧客ID、注文番号。「顧客ID」や「注文番号」も消します。 単体では意味がなくても、手元の別のデータと突き合わせれば個人に戻せるためです。

2. 明細のまま渡さず、先に集計する。

日別の売上、商品別の売上、件数。表計算ソフトのピボットテーブルで十分です。 5,000行の注文明細を、30行くらいの集計表にします。

3. 集計後の表を、チャット欄に直接貼る。

数十行なら、ファイルを添付しなくてもそのまま貼れます。添付ファイルを残さないほうが、後始末も楽です。

集計してから渡すほうが、答えも良くなります

これは安全のためだけではありません。

AIに数千行の合計を計算させると、間違えます。 そして、間違えたことを教えてくれません。合計や平均は、自分の手元で出した数字を渡す。 AIには「その数字をどう読むか」だけをやらせる。この分担にすると、答えの信頼度が上がります。

貼った後の聞き方

数字を渡しただけでは、まだ一般論が返ってきます。指示を3つ足してください。

以下は当社の(期間)の集計値です。

(集計表を貼る)

条件:
- 渡した数字だけを使ってください。無い項目は推測で埋めず、
  「このデータからは分からない」と書いてください
- 主張ごとに、根拠が「実測」(渡した数字にある)か、
  「推測」(数字から導いた解釈)か、「仮説」(裏付けがない)かを
  必ず明記してください
- 比較するときは、直近28日とその前の28日で揃えてください

2つ目の指示が一番効きます。

AIの答えは、実際の数字も、一般論も、思いつきも、全部同じ自信のある文体で出てきます。 ラベルを付けさせると、その文章のうちどこが本当にデータに基づいているかが見えます。やってみると、「仮説」が思ったより多いはずです。

MCPで繋ぐ場合

繰り返し同じことを聞くなら、毎回貼るより繋いだほうが早いです。Google広告やGoogle Analyticsには公式のMCPサーバーがあり、手元のAIツールから直接データを読ませられます。

準備の重さと具体的な手順は、別の記事にまとめました。

それでも、毎回説明することになるもの

数字を渡す問題が解決しても、もう1つ残ります。

  • 何を売っていて、いくらで、誰に売っているのか
  • 月にいくらまで使えるのか
  • 前に試して駄目だったのは何か

この前提が無いと、答えは一般論に戻ります。 数字だけ渡しても「広告文のABテストをしましょう」「LPを改善しましょう」で終わるのは、AIがあなたの事業を知らないからです。

カスタム指示やプロジェクト機能に書いておく手はありますが、事業の状況は変わるので、更新し続けることになります。 ここが地味に続きません。

商略AIのチャット

前半の3つを、設定なしで済ませるように作っています。

連携済みなら、質問するだけです。 CSVもスクリーンショットも要りません。Google Analytics、Search Console、Google広告、Meta広告、Instagramのうち、繋いであるものから必要な数字を取りに行きます。

必要なときだけ取りに行きます。 質問を17種類に分類し、そのうち3つ(対象外の質問、雑談、確認が必要な質問)はその場で答えて終わりです。「Instagramの投稿ネタを考えて」に広告APIは呼びませんし、一般的なマーケティングの相談では外部データを取りません。関係ない質問で待たされないための作りです。

事業情報が毎回入ります。 商材、価格、収益モデル、ターゲット、月の予算。それに加えて、過去に「合わない」と評価した施策も渡すので、同じ提案が繰り返されにくくなります。

答えには、主張ごとに「実測」「推測」「仮説」のラベルが付きます。 前半で「毎回書いてください」と勧めた指示を、こちらでは仕組みにしてあります。

しかも、「実測」と書くだけでは通しません。 その主張には実際のデータへの参照を最低1つ付けることを必須にしていて、存在しない参照が入っていた回答は弾きます。 ラベルだけ立派で中身が無い、という状態を防ぐためです。

データが取れなかったときは、回答自体をエラーにせず、取れなかったものを明示して答えます。 連携が切れていても、手元の情報でできるところまでは答えます。

CSVを添付することもできます

チャットにCSVを添付する機能もありますが、送っているのはファイルではありません。

ブラウザの中で集計してから、集計後の数十行だけを送ります。 明細も、個人情報の列を落とす前の行も、サーバーへは送りません。前半に書いた「個人情報の列を消して、集計してから渡す」を、手作業なしでやる形になっています(CSV売上診断と同じ仕組みです)。

費用のこと

ライトの月額980円から使えます。 チャットは分析の回数を消費しないので、回数を気にせず聞けます(クレジット残量の範囲内です)。

ただし、ChatGPTやClaudeを解約して乗り換えるものではありません。 文章を書く、調べる、コードを書くといった用途は汎用のAIのほうが向いています。自社の数字が絡む相談だけこちらに寄せて、それ以外は今使っているものを続ける、という前提で価格を決めています。

併用しやすいように、MCP経由で手元のAIツールから同じデータを引くこともできます。

使う前に確認すること

  • 対応しているのは5媒体だけです。 Yahoo!広告、TikTok、LINEには対応していません
  • 事業情報を入れないと、精度は出ません。 入力は任意ですが、入れるほど答えが変わります
  • 読み取りだけです。 チャットから広告を止めたり、予算を変えたりはできません
  • 汎用のAIチャットの置き換えではありません。 マーケティングの相談に絞った作りです

試すには

14日間の無料トライアルは、開始時のカード登録なしで試せます。

プランの選び方は 別の記事に、連携の全体像は こちらにまとめました。