商略AI

AIに自社の広告・GA4の数字を読ませるMCPの始め方

更新 プロダクト7分

MCP(Model Context Protocol)は、AIツールが外部サービスのデータや操作を使うための共通規格です。広告やGA4のデータを取得できるサーバーにつなぐと、確認した数字を根拠に相談できます。

なので毎回、管理画面のスクリーンショットを撮るか、CSVを書き出して貼ることになります。相談したい回数だけこれをやるので、だんだんやらなくなります。

MCP(Model Context Protocol)は、この貼り付け作業をなくすための仕組みです。AIツールが自分でデータを取りに行けるようになります。

マーケティング支援SaaS「商略AI」( https://shoryaku.net ) を作っています。この記事の前半は、誰でも今日から使える公開のMCPサーバーの話です。後半で、商略AIをMCPサーバーとして使うと何が変わるかを書きます。

MCPは「AIに数字を渡す口」の共通規格

難しい仕組みではありません。AIツールとデータの間に、共通の差込口を1つ決めた、というだけです。

差込口が共通なので、対応しているAIツールなら同じサーバーがそのまま使えます。利用するAIツールが、サーバーの接続方式と認証方式に対応するかを確認します。ローカルで動かすサーバーと、HTTPで接続するサーバーでは準備が異なります。

つないだあとは、こう変わります。

  • 前: 「GA4のこのスクショを見てください。先月と比べてどうですか」
  • 後: 「直近30日のGA4を前の30日と比べて、伸びた要因と落ちた要因を数値付きで説明して」

後者は、AIが自分で数字を取りに行きます。

今すぐ使える公開MCPサーバー

マーケティングまわりで実際に使えるものを挙げます。提供元と、用意するものの重さが全然違うので、そこも書きます。

サーバー 提供元 できること 用意するもの
Playwright MCP Microsoft 公式 ブラウザを実際に開いて操作・画面確認・通信の確認 Node.js だけ
Google Analytics MCP Google 公式(実験的) GA4のレポート、リアルタイム、ファネル分析 認証情報とAPIの有効化
Google Ads MCP Google 公式 Google広告のデータ照会(GAQL) OAuthなど接続方式に応じた認証。開発者トークンは必要な方式で用意
Search Console向けの連携 提供元を個別に確認 検索データの取得範囲を確認 認証方式、権限、取得項目の確認

一番かんたんなのは Playwright MCP

Node.js が入っていれば、コマンド1行の設定で入ります。MCP自体の導入と、操作するサイトのログインは別です。

自分のサイトの数字を見るものではありませんが、マーケティングの用途は多いです。

  • 競合のLPを実際に開かせて、見出し・CTA・料金表の構成を書き出させる
  • 自分のサイトをスマホ幅で開かせて、崩れていないか確認させる
  • 自分のサイトのフォームを、テスト環境や許可した範囲で確認させる

「AIにサイトを見せる」ではなく「AIにサイトを見に行かせる」 ができるようになります。ここが体感の差として一番大きいと思います。

効果が大きいのは GA4 と Google広告

どちらもGoogle自身が公開している公式サーバーです。今回確認したGoogle広告の公開ツールはデータ照会とメタデータ取得が中心で、GA4は読み取り権限の認証を案内しています。使うバージョンのツール一覧も確認してください。

ただし、用意するものは重いです。 GA4はGoogle Cloud側でAdmin APIとData APIを有効にして認証情報を用意する必要がありますし、Google広告に至っては接続方式に応じたOAuthや、必要な場合の開発者トークンを確認します。「今日の午後に試す」の難易度ではありません。

Search Console向けの連携を選ぶ場合も、提供元、認証、取得範囲を確認します。名称だけでGoogle公式と判断せず、実際の実装と公開元を見て選んでください。

Meta・TikTokの更新では、操作の範囲も確認する

Metaは2026年10月6日、広告MCPで素材のアップロードや下書き作成を支援し、公開前に明示的な承認を要すると説明しました。Metaの公式発表

TikTokも2026年10月5日、広告の計画・開始・管理に使うMCP連携を発表しました。TikTokの公式発表

MCPという名前だけでは、読み取り専用か分かりません。接続前に、次の表を埋めます。

確認 決めること
データ取得 アカウント、期間、取得できる指標
下書き作成 素材や設定を、どこまで準備できるか
公開・変更 配信開始、予算、停止を操作できるか
権限と確認 利用者の権限と、適用前の確認方法
提供条件 自社の地域・アカウント・接続方式で使えるか

最初は取得と分析の範囲を決めます。変更も任せる場合は、対象と変更内容を読める形にして、適用する操作を確認します。段階ごとの指示は、AIエージェントへ任せる範囲の決め方で整理できます。商略AIのMCPは、以下のとおり読み取り専用です。

使うときの4つのコツ

つないだ後に効くものを挙げます。どのMCPサーバーでも共通です。

1. 読み取り専用のものから入れる

Playwright MCPはクリックやフォーム操作ができるため、読み取り専用ではありません。公開ページの確認と、送信・購入・設定変更を分けて指示します。広告サーバーも、公開ツールと権限を確認してから接続します。

2. 「取れなかったものは推測しないで」と毎回書く

つながっていても、権限や期間の問題でデータが取れないことがあります。このときAIは、平気で「一般的には〜」で埋めてきます。

数字はMCPから取得したものだけを使ってください。
取得できなかった項目は、推測で補わずに
「取得できなかった」と明記してください。

3. データの取得時点を言わせる

サーバーによっては結果をキャッシュしています。昨日の数字を今日の数字として読むと、判断がずれます。

使った数値それぞれについて、いつ時点のデータかを併記してください。

4. 比較する期間を自分で指定する

「最近どう?」だけだと、AIは都合のいい期間を選びます。伸びて見える切り方が必ず存在するからです。

直近30日を、その前の30日と比べてください。
期間の区切り方は変えないでください。

それでも面倒なのは、数を増やしたときです

1つ2つなら、ここまでで足ります。困るのはこの3つです。

  • 認証方式がサーバーごとに違う。 認証情報のファイル、開発者トークン、OAuth と、覚えることが毎回増える
  • 媒体の数だけ設定が増える。 GA4、広告、Instagram、検索と繋いでいくと、そのぶん管理するものが増える
  • 事業の前提は、どのサーバーも持っていない。 何を売っていて、いくらで、誰に売っているか。これは毎回自分で説明することになります

3つ目が地味に効きます。数字だけ渡しても、「で、どうすればいいか」の答えは事業の前提が無いと出てきません。

商略AIのMCP

商略AI自体が、MCPサーバーとして使えます。1つつなぐと、連携済みの媒体が同じ口から出てきます。

外部のAIツールに、GoogleやMetaのトークンを渡しません。 手元のAIツールに設定するのは商略AIのトークン1つだけで、各媒体のAPIを叩くのは商略AIのサーバー側です。トークンはハッシュ化して保存していて、発行時の平文は一度しか表示しません。画面からいつでも失効させられます。

使えるToolは7つです。

Tool 中身 データの鮮度
get_business_profile 事業内容、ターゲット、商材、予算、連携状況 保存時点
get_recommendations 提案済みの施策、根拠、実行手順、想定コスト 最終分析時点
get_marketing_report GA4・Search Console・Google広告・Meta広告・Instagram の期間レポート 最大15分以内
get_campaign_metrics 広告のキャンペーン別の費用・クリック・CV・CPA・ROAS 最終分析時点
get_keyword_opportunities 需要があって競合が比較的少ないキーワード候補 呼び出し時取得
get_trend_signals 事業に関連する直近のトレンド(出典URL付き) 呼び出し時取得
get_ads_delivery_diagnosis Google広告の配信・計測の診断、最適化案の判定、他データとの照合 呼び出し時取得

7つとも読み取り専用です。 MCPから広告を止めたり、予算を変えたりはできません。

前の節で挙げた「事業の前提を毎回説明する」問題は、get_business_profile が引き受けます。数字と一緒に、何を売っている事業なのかがAIに渡るので、返ってくる答えが一般論から離れます。

そのまま使える質問の例です。

商略AIのMCPから事業情報、直近の外部連携レポート、提案済み施策を取得し、
今週の作業時間と予算に合う施策を3件選んでください。
各施策に根拠となる数値、所要時間、確認するKPIを付けてください。
商略AIのMCPを使ってGoogle広告の直近30日の全体実績と、
保存済みのキャンペーン別実績を確認してください。
CPA、ROAS、コンバージョン数から停止・縮小・継続の候補を分け、
ライブデータと保存データの取得日時が違う場合は明記してください。

設定は、ログイン後の「MCP連携」で利用するクライアントを選び、画面に表示される案内に沿って進めます。クライアントごとに、コマンド・設定ファイル・画面入力の方法が異なります。

使う前に確認すること

  • Claude のデスクトップアプリからは接続できません。 カスタムコネクタの画面にヘッダーを入力する欄が無く、トークンを渡せないためです。同じClaudeでも、Claude Code(CLI)なら接続できます
  • 商略AIに連携していない媒体は、商略AIのMCPからは出ません。 先に連携が必要です
  • キーワード調査と、Meta広告の期間レポートはプロプランのみです。それ以外のToolは全プランで使えます
  • 読み取り専用です。 実行までは自動化していません

試すには

MCP連携はライト(月額980円)から使えます。外部連携の数に上限はありません。

14日間の無料トライアルは、開始時のカード登録なしで試せます。トークンの発行は、ログイン後の「MCP連携」から行えます。

まず数字だけ見てみたい方には、登録不要の CSV売上診断 もあります(説明記事)。AIに施策を出させるときのコツは 別の記事 にまとめました。