AIに自社の広告・GA4の数字を読ませるMCPの始め方
MCP(Model Context Protocol)は、AIツールが外部サービスのデータや操作を使うための共通規格です。広告やGA4のデータを取得できるサーバーにつなぐと、確認した数字を根拠に相談できます。
なので毎回、管理画面のスクリーンショットを撮るか、CSVを書き出して貼ることになります。相談したい回数だけこれをやるので、だんだんやらなくなります。
MCP(Model Context Protocol)は、この貼り付け作業をなくすための仕組みです。AIツールが自分でデータを取りに行けるようになります。
マーケティング支援SaaS「商略AI」( https://shoryaku.net ) を作っています。この記事の前半は、誰でも今日から使える公開のMCPサーバーの話です。後半で、商略AIをMCPサーバーとして使うと何が変わるかを書きます。
MCPは「AIに数字を渡す口」の共通規格
難しい仕組みではありません。AIツールとデータの間に、共通の差込口を1つ決めた、というだけです。
差込口が共通なので、対応しているAIツールなら同じサーバーがそのまま使えます。利用するAIツールが、サーバーの接続方式と認証方式に対応するかを確認します。ローカルで動かすサーバーと、HTTPで接続するサーバーでは準備が異なります。
つないだあとは、こう変わります。
- 前: 「GA4のこのスクショを見てください。先月と比べてどうですか」
- 後: 「直近30日のGA4を前の30日と比べて、伸びた要因と落ちた要因を数値付きで説明して」
後者は、AIが自分で数字を取りに行きます。
今すぐ使える公開MCPサーバー
マーケティングまわりで実際に使えるものを挙げます。提供元と、用意するものの重さが全然違うので、そこも書きます。
| サーバー | 提供元 | できること | 用意するもの |
|---|---|---|---|
| Playwright MCP | Microsoft 公式 | ブラウザを実際に開いて操作・画面確認・通信の確認 | Node.js だけ |
| Google Analytics MCP | Google 公式(実験的) | GA4のレポート、リアルタイム、ファネル分析 | 認証情報とAPIの有効化 |
| Google Ads MCP | Google 公式 | Google広告のデータ照会(GAQL) | OAuthなど接続方式に応じた認証。開発者トークンは必要な方式で用意 |
| Search Console向けの連携 | 提供元を個別に確認 | 検索データの取得範囲を確認 | 認証方式、権限、取得項目の確認 |
一番かんたんなのは Playwright MCP
Node.js が入っていれば、コマンド1行の設定で入ります。MCP自体の導入と、操作するサイトのログインは別です。
自分のサイトの数字を見るものではありませんが、マーケティングの用途は多いです。
- 競合のLPを実際に開かせて、見出し・CTA・料金表の構成を書き出させる
- 自分のサイトをスマホ幅で開かせて、崩れていないか確認させる
- 自分のサイトのフォームを、テスト環境や許可した範囲で確認させる
「AIにサイトを見せる」ではなく「AIにサイトを見に行かせる」 ができるようになります。ここが体感の差として一番大きいと思います。
効果が大きいのは GA4 と Google広告
どちらもGoogle自身が公開している公式サーバーです。今回確認したGoogle広告の公開ツールはデータ照会とメタデータ取得が中心で、GA4は読み取り権限の認証を案内しています。使うバージョンのツール一覧も確認してください。
ただし、用意するものは重いです。 GA4はGoogle Cloud側でAdmin APIとData APIを有効にして認証情報を用意する必要がありますし、Google広告に至っては接続方式に応じたOAuthや、必要な場合の開発者トークンを確認します。「今日の午後に試す」の難易度ではありません。
Search Console向けの連携を選ぶ場合も、提供元、認証、取得範囲を確認します。名称だけでGoogle公式と判断せず、実際の実装と公開元を見て選んでください。
Meta・TikTokの更新では、操作の範囲も確認する
Metaは2026年10月6日、広告MCPで素材のアップロードや下書き作成を支援し、公開前に明示的な承認を要すると説明しました。Metaの公式発表
TikTokも2026年10月5日、広告の計画・開始・管理に使うMCP連携を発表しました。TikTokの公式発表
MCPという名前だけでは、読み取り専用か分かりません。接続前に、次の表を埋めます。
| 確認 | 決めること |
|---|---|
| データ取得 | アカウント、期間、取得できる指標 |
| 下書き作成 | 素材や設定を、どこまで準備できるか |
| 公開・変更 | 配信開始、予算、停止を操作できるか |
| 権限と確認 | 利用者の権限と、適用前の確認方法 |
| 提供条件 | 自社の地域・アカウント・接続方式で使えるか |
最初は取得と分析の範囲を決めます。変更も任せる場合は、対象と変更内容を読める形にして、適用する操作を確認します。段階ごとの指示は、AIエージェントへ任せる範囲の決め方で整理できます。商略AIのMCPは、以下のとおり読み取り専用です。
使うときの4つのコツ
つないだ後に効くものを挙げます。どのMCPサーバーでも共通です。
1. 読み取り専用のものから入れる
Playwright MCPはクリックやフォーム操作ができるため、読み取り専用ではありません。公開ページの確認と、送信・購入・設定変更を分けて指示します。広告サーバーも、公開ツールと権限を確認してから接続します。
2. 「取れなかったものは推測しないで」と毎回書く
つながっていても、権限や期間の問題でデータが取れないことがあります。このときAIは、平気で「一般的には〜」で埋めてきます。
数字はMCPから取得したものだけを使ってください。
取得できなかった項目は、推測で補わずに
「取得できなかった」と明記してください。
3. データの取得時点を言わせる
サーバーによっては結果をキャッシュしています。昨日の数字を今日の数字として読むと、判断がずれます。
使った数値それぞれについて、いつ時点のデータかを併記してください。
4. 比較する期間を自分で指定する
「最近どう?」だけだと、AIは都合のいい期間を選びます。伸びて見える切り方が必ず存在するからです。
直近30日を、その前の30日と比べてください。
期間の区切り方は変えないでください。
それでも面倒なのは、数を増やしたときです
1つ2つなら、ここまでで足ります。困るのはこの3つです。
- 認証方式がサーバーごとに違う。 認証情報のファイル、開発者トークン、OAuth と、覚えることが毎回増える
- 媒体の数だけ設定が増える。 GA4、広告、Instagram、検索と繋いでいくと、そのぶん管理するものが増える
- 事業の前提は、どのサーバーも持っていない。 何を売っていて、いくらで、誰に売っているか。これは毎回自分で説明することになります
3つ目が地味に効きます。数字だけ渡しても、「で、どうすればいいか」の答えは事業の前提が無いと出てきません。
商略AIのMCP
商略AI自体が、MCPサーバーとして使えます。1つつなぐと、連携済みの媒体が同じ口から出てきます。
外部のAIツールに、GoogleやMetaのトークンを渡しません。 手元のAIツールに設定するのは商略AIのトークン1つだけで、各媒体のAPIを叩くのは商略AIのサーバー側です。トークンはハッシュ化して保存していて、発行時の平文は一度しか表示しません。画面からいつでも失効させられます。
使えるToolは7つです。
| Tool | 中身 | データの鮮度 |
|---|---|---|
get_business_profile |
事業内容、ターゲット、商材、予算、連携状況 | 保存時点 |
get_recommendations |
提案済みの施策、根拠、実行手順、想定コスト | 最終分析時点 |
get_marketing_report |
GA4・Search Console・Google広告・Meta広告・Instagram の期間レポート | 最大15分以内 |
get_campaign_metrics |
広告のキャンペーン別の費用・クリック・CV・CPA・ROAS | 最終分析時点 |
get_keyword_opportunities |
需要があって競合が比較的少ないキーワード候補 | 呼び出し時取得 |
get_trend_signals |
事業に関連する直近のトレンド(出典URL付き) | 呼び出し時取得 |
get_ads_delivery_diagnosis |
Google広告の配信・計測の診断、最適化案の判定、他データとの照合 | 呼び出し時取得 |
7つとも読み取り専用です。 MCPから広告を止めたり、予算を変えたりはできません。
前の節で挙げた「事業の前提を毎回説明する」問題は、get_business_profile が引き受けます。数字と一緒に、何を売っている事業なのかがAIに渡るので、返ってくる答えが一般論から離れます。
そのまま使える質問の例です。
商略AIのMCPから事業情報、直近の外部連携レポート、提案済み施策を取得し、
今週の作業時間と予算に合う施策を3件選んでください。
各施策に根拠となる数値、所要時間、確認するKPIを付けてください。
商略AIのMCPを使ってGoogle広告の直近30日の全体実績と、
保存済みのキャンペーン別実績を確認してください。
CPA、ROAS、コンバージョン数から停止・縮小・継続の候補を分け、
ライブデータと保存データの取得日時が違う場合は明記してください。
設定は、ログイン後の「MCP連携」で利用するクライアントを選び、画面に表示される案内に沿って進めます。クライアントごとに、コマンド・設定ファイル・画面入力の方法が異なります。
使う前に確認すること
- Claude のデスクトップアプリからは接続できません。 カスタムコネクタの画面にヘッダーを入力する欄が無く、トークンを渡せないためです。同じClaudeでも、Claude Code(CLI)なら接続できます
- 商略AIに連携していない媒体は、商略AIのMCPからは出ません。 先に連携が必要です
- キーワード調査と、Meta広告の期間レポートはプロプランのみです。それ以外のToolは全プランで使えます
- 読み取り専用です。 実行までは自動化していません
試すには
MCP連携はライト(月額980円)から使えます。外部連携の数に上限はありません。
14日間の無料トライアルは、開始時のカード登録なしで試せます。トークンの発行は、ログイン後の「MCP連携」から行えます。
まず数字だけ見てみたい方には、登録不要の CSV売上診断 もあります(説明記事)。AIに施策を出させるときのコツは 別の記事 にまとめました。