商略AI

SaaSの無料プランを置かず、14日トライアルに絞った理由

更新 プロダクト4分

SaaSの無料プランと無料トライアルは、同じ「無料」でも確認できることが違います。無料プランは継続利用を広げる設計、トライアルは期限内に価値と支払い意思を確認する設計です。

有料顧客がまだいない自社SaaSでは、無料プランを置かず、スタンダードプランの範囲を試せる14日トライアルだけにしました。開始時のカード登録は不要で、期限後に自動課金もしません。現段階で先に知りたいのが、登録者数ではなく「使った後に月額料金を払う人がいるか」だからです。

これはフリーミアム一般を否定する結論ではありません。ネットワーク効果、無料利用からの口コミ、明確な有料アップセルを検証できるサービスなら無料プランが合う可能性があります。この記事では、顧客ゼロの自社で何を優先し、何が分かったら判断を変えるかを示します。

個人開発でマーケティング支援SaaS「商略AI」( https://shoryaku.net )を作っています。

現在の料金とトライアル

記事公開時のプランは2つです。

プラン 月額 AIクレジット 分析回数の上限
スタンダード ¥4,980 11,000,000 月30回
プロ ¥9,800 21,500,000 月100回

サインアップ後14日間は、開始時のカード登録なしで機能を試せます。トライアル終了後にカードが未登録なら利用を止め、勝手に有料契約へ切り替えません。

期間を7日から14日へ延ばした根拠は、競合9社の公開条件と、自社で施策を実行して数字を見直すまでに必要な時間です。調査はSaaSの無料トライアルは、なぜ14日が多いのか9社調べたに書いています。

AI原価の高さが理由ではない

無料プランを置かない理由を「AIは高いから」と説明すると、現在の実装とは合いません。

現行コードの試算では、スタンダードプランのAI原価は典型利用で月319円、クレジットを使い切った場合の上限は月1,238円です。顧客の実利用平均ではなく、実装で置いたトークン量からの試算です。計算条件と、公開時の月140円という古い見積もりを訂正した経緯はAI SaaSの原価は、実消費と月間上限の両方で管理するにまとめています。

無料利用者が少数なら、原価だけで直ちに成立しなくなる水準ではありません。問題は、無料利用を増やしたときに何を学べるかです。

顧客ゼロの今は、利用者数より支払い意思を先に測る

無料プランを置くと、登録、継続利用、生成回数は測れます。一方、その人が月額4,980円を払うかは、有料機能への到達かアップグレード要求を設計しない限り分かりません。

自社はまだ、次の数字を持っていません。

  • トライアル開始から最初の分析までの到達率
  • 14日以内に価値を感じた割合
  • トライアルから有料への転換率
  • 1か月後、3か月後の継続率
  • 無料プランが紹介やコンテンツ生成を増やす効果

この状態で恒久無料枠を作ると、測るべき仮説が増えます。そこで最初は、14日間でスタンダード相当の機能を見せた後、継続には有料契約が必要という1本の境界にしました。プロ限定の機能まで試せるわけではありません。

M&Aサイトの公開案件を調べたときも、売り手が継続顧客や利益を価値として説明している例がありました。ただし多くは希望価格で、無料利用者が無価値だと証明するデータではありません。現在の判断は、外部相場の一般則ではなく、自社が最初に検証したいものを1つに絞るためです。

利用制限は期間と契約状態の1か所で判定する

実装では、無料・有料の境界を機能ごとに分けていません。共通関数が契約状態と期限を見ます。

状態 判定
active 利用可
trialing かつ期限内 利用可。残り日数を表示
trialing だが期限切れ trial_expired で停止
契約なし subscription_required で停止

契約が必要な機能の入口はこの判定を通します。スタンダードとプロの機能差は別の権限判定です。 トライアル期限の判定を機能ごとに書かないため、新しい入口で期限確認を付け忘れる範囲を減らせます。

トライアル期限は登録時刻から14日後の同時刻です。終了後も使うには、管理画面からカードを登録して有料プランを申し込みます。

無料プランを再検討する条件

次のどれかを実測できたら、無料プランを再検討します。

  • 無料利用者が作った公開コンテンツや紹介から、有料登録が増える
  • 14日では価値の確認に足りず、期間延長より継続無料のほうが検証しやすい
  • 無料枠と有料枠の違いを、機能数ではなく利用量で分かりやすく引ける
  • サポート工数とAI原価を含めても、無料利用の獲得効果が上回る

逆に、転換率も紹介効果も分からない段階では増やしません。無料プランを置かないこと自体を正解にせず、変更条件まで決めておくのが現在の結論です。

まとめ

  • 無料プランではなく、カード登録不要・自動課金なしの14日トライアルに絞った
  • 理由はAI原価の高さではなく、顧客ゼロの段階で支払い意思を先に検証するため
  • スタンダードのAI原価は現行試算で典型319円、上限1,238円。実利用平均は未計測
  • 利用制限は機能ごとではなく、契約状態とトライアル期限の共通判定へ集約した
  • 有料転換、継続、紹介効果は未計測。数字が出れば無料プランを再検討する