商略AI

マーケ担当がいない会社が最初に決めるのは、獲得コストの上限です

マーケティング5分

専任のマーケティング担当がいない会社で、集客について調べ始めると、こうなります。

Instagramは毎日投稿したほうがいい。ブログも書いたほうがいい。Googleのプロフィールも整えたほうがいい。口コミも集めたほうがいい。広告も試したほうがいい。全部その通りで、どれも間違っていません。

だから決まらないのです。

やることのリストは無限に作れます。問題は数が多いことではなく、並べる基準が無いことです。基準を1つ決めると、選択肢は自動的に減ります。

マーケティング支援SaaS「商略AI」( https://shoryaku.net ) を作っています。この記事は、その基準の決め方と、決めた後の順番の話です。

よくある3つの失敗

基準が無いまま進めると、だいたい同じところで詰まります。

1つ目は、無料ですぐ終わることを最優先にしてしまうこと。

「これは無料だし、30分でできるから、まずこれから」。着手のしやすさで順番が決まっています。 安くて早いことと、売上に効くことは、まったく別の話です。

2つ目は、数字を集めたところで満足してしまうこと。

管理画面を見比べて、表にまとめて、そこで終わります。数字が並んでも、次に何をするかは書かれていません。

3つ目は、同時に3つ始めてしまうこと。

やる気があるときほどこうなります。そして1か月後、何が効いたのか分からなくなります。 効いていなかったものを続け、効いていたものをやめる、という判断をしてしまいます。

この3つは、順番を決める基準があれば全部避けられます。

最初に決めるのは、顧客1件にいくらまで使えるか

決めるのはこの1つです。顧客を1件獲得するのに、いくらまでなら払っていいのか。

これをCAC上限と呼びます。計算は2行です。

LTV     = 1件あたりの売上 × 粗利率 × 続く回数
CAC上限 = LTV ÷ 3

「続く回数」は、月額サービスなら続く月数、来店型なら年間の来店回数×何年か、です。正確でなくて構いません。 分からなければ、感覚で置いて構いません。置かないより、置いたほうが必ず判断は良くなります。

同じ4,980円の商材でも、答えは倍以上変わります。

月額4,980円のサービス 1回4,980円のサービス
粗利率 85% 70%
続く回数 16ヶ月 8回来店
LTV 約67,700円 約27,900円
CAC上限 約22,600円 約9,300円

上の事業は1件2万円かけて獲っても回収できますが、下の事業が同じことをすると赤字です。

この数字が出ると、選択肢の半分が自動的に消えます。 1クリック500円の広告を考えていたとして、申し込みまで100クリックかかるなら1件5万円です。上限が9,300円の事業なら、その時点で候補から外れます。やってみる前に、机の上で分かります。

そして冒頭の失敗1つ目が消えます。「無料だから最優先」ではなく、「上限に収まるか」で並ぶようになります。

決めた後に踏む4つのステップ

ステップ1: 今の数字が見える状態を作る

上限は決まりましたが、今どこで人が減っているかが分からないと、打ち手が選べません。

Google Analytics、Search Console、Google広告。この3つはLooker Studioで無料で1枚にまとまります。 ここは有料ツールを検討する前にやってください。

ただし、媒体をまたいだ成果の数を足さないでください。 Google広告の「コンバージョン」とGA4の「キーイベント」は数え方が違うので、合計すると実際より大きい数字が出ます。並べて比べるだけにします(詳しくはこちら)。

ステップ2: 詰まっている場所を1つに決める

集客は、この4段に分かれます。

新規流入 → サイト内での転換 → 問い合わせ・予約 → 継続・再購入

どこが一番細いかを1つだけ決めます。

見分け方は単純です。サイトに人は来ているのに問い合わせが無いなら、詰まっているのは流入ではありません。 ここで広告を足しても、穴の空いたバケツに水を足すだけになります。

流入が足りているのに集客を増やす。これが一番多い間違いだと思います。冒頭の失敗2つ目は、ここを決めないまま数字を眺めることで起きます。

ステップ3: 打ち手を「止めたら消えるか、残るか」で分ける

候補を2種類に分けます。

種類 例 性質
累積資産型 記事、口コミ、顧客リスト、被リンク 止めても残る。 ただし効き始めるまで3ヶ月以上
フロー型 広告 止めると消える。 ただし翌日から効く

この2つを同じ「今月やること」のリストに並べないでください。 並べると、必ず早く効くほうが上に来ます。

そのうえで、CAC上限に収まる有料施策があるかを見ます。 収まらないなら、広告は保留にして累積資産型から始めます。広告をやるなら、競合の入札が薄いキーワードを探すのが先です。

ステップ4: 1件だけ実行して、14日後と28日後に見る

同時に3つ始めないでください。 これが冒頭の失敗3つ目です。

1件選んで、実行日を決めて、14日後と28日後に同じ数字を見る予定をカレンダーに入れます。 期間を決めておかないと、良かったのか悪かったのかを気分で判断することになります。

そして結果が出ても、「改善した」で止めて、「これが原因だ」と断定しないでください。 同じ期間に季節も競合も動いています。言えるのは「改善が観測された」までです。 ここを断定すると、次に同じことをやって外します。

最初の1週間でやること

ここまでを作業に落とすと、5つです。

  1. LTVとCAC上限を出す(30分)。粗利率も続く回数も、推測で構いません
  2. Looker StudioでGoogle系の数字を1枚にまとめる(1時間)
  3. 4段のうち、どこが一番細いかを1つ決める
  4. その段に効く施策を1件だけ選ぶ。 CAC上限を超えるものは外す
  5. 実行日と、14日後・28日後の確認日をカレンダーに入れる

全部、道具を買わなくてもできます。 ここまでやってから、足りないものを買えばいいと思います。

毎月これを回すのが難しいときに

商略AIは、この4ステップをそのまま1つの流れにしたサービスです。

事業情報を登録するとLTVとCAC上限は自動で計算されます(未入力の項目は業種の既定値を当て、推定値だと明示します)。連携した媒体から数字を集め、どこが詰まっているかを判断したうえで、今週やる施策を根拠・手順・KPI付きで出します。CAC上限を超える施策は、その場で落とします。

累積資産型かフロー型か、効果が出るまでどれくらいかも、施策ごとに表示されます(仕組みはこちら)。実行した施策は14日後と28日後に比較しますが、そこでも因果は断定しません。

対応しているのはGoogle Analytics、Search Console、Google広告、Meta広告、Instagramの5つで、提案までを行い、広告の操作はしません。

試すには

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