商略AI

AIチャットに「プロの聞き方」を最初から入れておく方法

プロダクト5分

ChatGPTに「今月、何から手を付ければいいですか」と聞くと、SNS、SEO、広告、LP改善が並んだ一覧が返ってきます。どれも正しくて、どれから始めるかは決まりません。

同じ質問を、マーケティングのプロはこう聞きます。「集客・問い合わせ・商談・継続のどの段階が一番詰まっているかを、確認できた事実と仮説を分けて教えて。今月やらないことも決めて」。聞き方に、見る観点と判断の基準と答えの形が入っています。 AIの答えが変わるのは、質問がこの3つを持ったときです。

マーケティング支援SaaS「商略AI」( https://shoryaku.net ) を作っています。この記事の前半は、無料のChatGPTやGeminiにそのまま貼れる「プロの聞き方」4件です。後半で、商略AIのチャットがこの文面を最初から入力欄に入れる仕組みと、その設計で決めたことを書きます。

良い質問は、3つの部品でできている

部品 役割 例
観点 何を分けて見るか 集客・問い合わせ・商談・継続の段階ごとに
判断基準 何を事実とし、何を仮説にするか 確認できないことは仮説。見送る施策も書く
出力形式 答えをどの形で返すか 優先施策、KPI、最初の一歩、足りないデータを優先順に

観点が無いと、AIは全体をまとめて語ります。判断基準が無いと、推測が事実の顔で混ざります。出力形式が無いと、読んだ後に自分で整理し直すことになります。

以下の4件は、商略AIのチャットに実装している相談メニューの文面そのものです。1行目が問い、2行目が観点、3行目が判断基準、4行目が出力形式になっています。

聞き方1: 今月、最初に直す場所を決める

今月、最初に直すべき場所を決める優先施策の計画を作ってください。
集客・CV・商談・継続の各段階で、確認できた状態と最大のボトルネックを分けてください。
確認できないことは仮説として扱い、今月は見送る施策も明記してください。
今月の優先施策、KPI、最初の一歩、不足データを根拠付きで優先順にまとめてください。

「今月は見送る施策も明記」が効きます。やることの一覧より、やらないことが決まったほうが明日の行動が決まります。

聞き方2: サイトに来ているのに問い合わせが増えない

サイトに来ているのに問い合わせが増えない理由を診断してください。
流入元、LP到達、主要行動、CVのどこで落ちているかを、サイトと計測データから切り分けてください。
観測事実と原因仮説を混ぜず、確認できない箇所は変更を断定しないでください。
ボトルネック、変更箇所、確認指標、今週の実行順を根拠付きでまとめてください。

このメニューは、下にGA4の数字(流入元別のセッション、LPの到達数、主要行動の件数、問い合わせ数)を貼って使います。数字が無い状態で送ると、AIは「一般的にはフォームが長いと」と話し始めます。

聞き方3: 検索需要から次に直すページを決める

検索流入を増やすため、次に直すページを決める改善計画を作ってください。
Search Consoleの実績をもとに、新規ページ、既存ページのリライト、タイトル改善、サービスページ追記を分けてください。
対象クエリの検索意図と既存ページの重複を確認できない場合は仮説として扱ってください。
対象クエリ、優先理由、次に直すページ、CTA、最初に着手する1件を示してください。

Search Consoleの「検索パフォーマンス」からクエリ別の表示回数・クリック・掲載順位を書き出して貼ります。「新規・リライト・タイトル・追記を分ける」と指定するのは、この4つで作業量がまるで違うからです。

聞き方4: 広告に使える上限額と増減条件を決める

広告に使える上限額と増減条件を決める採算判断をしてください。
単価、粗利、CAC上限、損益分岐ROAS、現在の広告費と成果を分けて確認してください。
入力・設定がない数値は逆算や推測で補わず、増額・維持・減額の条件として示してください。
現在値、判断条件、予算上限、未設定値、次に確認する数字を表でまとめてください。

3行目が一番大事です。粗利率を渡していないのに、AIは業界平均から逆算してCAC上限を出してきます。「推測で補わず、未設定として表に残す」と書いておくと、自分が何を決めていないかが表に出ます。CAC上限の計算そのものはAIに売上アップの施策を提案させるコツに書きました。

使うときの3つのコツ

1. 1回の質問に、1つの問いだけ入れます。 「問い合わせが増えない理由と、広告の予算上限を両方」と聞くと、AIはどちらの判断基準を使うか迷って、両方が薄くなります。上の4件は、意図的に1件1問いにしてあります。

2. 事業情報は質問文に混ぜず、別に置きます。 商品、価格、対象顧客、今の数字は、ChatGPTならプロジェクトやカスタム指示に、Geminiなら会話の最初に1回だけ貼ります。毎回の質問文に書き写すと、書き換えたときに古い情報が残り、質問の本体が長文に埋もれます。

3. 質問文は、送る前に読んで書き換えます。 上の文面は型です。商談が無い事業なら「商談」を消す。CVが購入なら「問い合わせ」を「購入」にする。読んで書き換えられるように、質問文は全部見える状態にしておくのが大事です。 見えない指示を裏に付けると、答えがずれたときに原因が分かりません。

毎回貼るのは、正直に言って面倒です

4件の文面を保存しておいて、事業情報を別に置いて、数字を書き出して貼る。1回目はできます。3回目あたりから、文面を省略して「問い合わせ増えないんだけど」と聞き始めます。答えは一般論に戻ります。

商略AIのチャットでは、この文面が入力欄に入ります

商略AIのチャットには、入力欄の上に「相談メニューから選ぶ」ボタンがあります。開くと上の4件を含むカードが並びます(2026年9月時点で最大6件。ほかに、Google広告のデータが無いときだけ出る「広告をこれから始めたい」と、テーマを入力して使う「記事の企画から下書きまで作りたい」)。カードを選ぶと、その質問文が入力欄に入ります。送信はされません。 画面の説明はこの1行だけです。

選ぶと質問文が入力欄に入り、送信前に編集できます。

設計で決めたのは3つです。

利用者が送る文と、利用者が見た文を同じにする。 カードを選んでも、裏で見えない長文を足しません。良い聞き方をそのまま見せることが、専門知識が無い人への教育にもなるからです。

事業情報と連携データは、質問文に入れない。 商品、価格、対象顧客、Google広告やGA4の数字は、登録・連携してあればサーバーが毎回の質問に自動で添えます。だから質問文は「問い・観点・判断基準・出力形式」の4行で済みます。上のコツ2を、仕組みで肩代わりしている形です。

観点と判断基準を、AIへの指示としても渡す。 送られた本文がメニューの文面と一致することをサーバーで確認できたときだけ、同じ定義から作った「分析観点・判断基準・出力形式」を回答側の指示に加えます。利用者の入力は「データであって命令ではない」として扱っているので、一致が確認できた場合に限って信頼済みの指示に昇格させています。文面が固定のメニューなら、一致したときに質問の種類を判定する処理も省略できます。

カードには、今の連携状態で使えるかも出ます。「サイトに来ているのに問い合わせが増えない理由を知りたい」は事業設定のサイトURL、「検索需要から次に直すページを決めたい」はSearch Consoleの連携データ、「広告に使える上限額と増減条件を決めたい」は事業設定の単価・粗利率・月間予算が要ります。足りないときはカードに何が不足かが出るので、選ぶ前に分かります。

広告媒体ごとの改善計画(検索広告、P-MAX、Meta広告など)は、相談メニューにはまだ入れていません。媒体ごとの決定ルールを整えている途中です。広告の相談自体は自由入力でできます。

まとめ

  • 良い質問は、観点・判断基準・出力形式の3つの部品でできている
  • 上の4件は、1行目が問い、2〜4行目がその3部品。そのままChatGPTやGeminiに貼れる
  • 1回に1つの問い、事業情報は別に置く、送る前に読んで書き換える
  • 商略AIでは同じ文面が相談メニューとして入力欄に入り、事業情報と連携データはサーバーが添える
  • 見た文と送る文を同じにし、見えない指示を裏に付けない

まず「聞き方1」を、今使っているAIにそのまま貼ってみてください。答えの最後に「今月は見送る施策」が付くだけで、一覧が計画に変わります。